自治体担当者として準備しておくべきこと(2) 再生可能エネルギー推進条例の制定

再生可能エネルギー推進条例の制定

現時点では、環境基本条例というかたちで省エネ推進をうたった条例は数多く存在しますが、正面から、再生可能エネルギーの推進を掲げた条例はあまり多くありません。しかし、再生可能エネルギーの推進は、環境保護活動としての側面のみならず、地域産業振興や住民自治の促進といった側面からも注目されますから、「再生可能エネルギー推進基本条例」を制定する自治体は増えてくると考えます。

①どのような条例を作るか

▼再生可能エネルギー推進条例とは?
自治体として、再生可能エネルギーの推進を積極的に行っていくための、自治体内組織整備、住民との連絡協議会等の設置、自治体として推進施策を継続的に採って行くことの宣言、推進状況の公開等を行うことを示す基本条例です。
基本条例の制定と同時に、推進組織を整備し、さらに民間との協議会等を立ち上げることで、スピーディに再生可能エネルギー推進施策を立案・整備していくことを目指します。

基本条例というかたちで、再生可能エネルギー推進を宣言し、市の総合的政策立案の責務を規定し、さらに、市民協同をうたうかたちの宣言条例とするか、より本格的な助成・支援規定を盛り込んだ本格条例とするか、検討が必要です。

一般的な条例の構成
1.    題名
○○市再生可能エネルギー推進条例

2.    目的規定(趣旨規定)
(例)この条例は、再生可能エネルギーの導入に関し、市の責務および市民や企業の役割、協業のありかたを定め、再生可能エネルギー推進による地域の経済的自立を推進し、さらに地域の環境負荷を軽減し、もって経済発展と環境保全が両立する社会の構築を図ることを目的とする。
<コメント>産業発展であるとか、地域の経済的自立を目的規定に入れるかどうかは検討事項です。この条例を、環境保全型の条例と考えるのか、経済政策の一環として考えるのかという方向性を定めます。

3.    定義規定
(例)この条例において、再生可能エネルギー電気とは、再生可能エネルギー発電設備を用いて再生可能エネルギー源を変換して得られる電気をいう・・・
<コメント>再生可能エネルギー電気、再生可能エネルギー発電設備、再生可能エネルギー源については、いわゆる再エネ買取法の定義を利用するのが通常でしょう。

4.    市などの責務
(例)市は、再生可能エネルギーの推進に必要な各種補助事業の実施、協議会等の設定、迅速な環境評価体勢の構築、再生可能エネルギー発電施設近隣の住民との連絡調整その他再生可能エネルギーの推進に必要な施策を実施する。
<コメント>市の責務として、どの程度の内容を盛り込むかがポイントになります。また、市民や企業の役割や協業についての条文を置くかについても検討が必要です。

5.    義務付けがあればその内容
(例)事業者は、再生エネルギー電気導入計画を作成し市長に届け出る。この計画に基づく取組み実績について、毎年1回以上、市長への報告またはホームページ等での公示により広く公表する。
<コメント>事業者等への義務を設定する場合には、その義務が思い負担になりすぎないように注意すべきです。また、本格条例として設定する場合には、再生可能エネルギー発電事業を行うものに対する義務の規定(事業計画の提出義務、環境評価書の提出義務、地域住民との調整義務等)についても検討する必要があります。

6.    違反に対する制裁があればその内容
<コメント>この条項は、特に再生可能エネルギー発電事業者の義務を規定した場合の義務違反に対応した条項になります。行政指導や公表に加え、どの程度の罰則を設定するかが検討事項となります。

7.    助成的・支援的措置
(例)市は、市民参加型再生可能エネルギー発電事業者に対して、送電接続設備の構築、発電設備の導入その他の事業開始にかかわる初期費用の軽減にかかる支援措置を実施することができる。
<コメント>助成的・支援的措置は今後必要になります。買取制度と補助を組み合わせることによって、再生可能エネルギー事業の推進が加速されるからです。また、支援措置の内容や対象等を検討する協議会を設置することなども考えられます。

8.    附則(施行期日)

このように、再生可能エネルギー推進条例を作成することは、市の決意を示すことになります。また具体的な支援方法、再生可能エネルギー発電事業者への義務などを設定することによりスピード間と法的安定性のバランスをとった再生可能エネルギー事業の推進の実現に寄与することになります。

②自治体の再エネ関連条例の例

■大阪市

(仮称)大阪市再生可能エネルギーの導入等による低炭素社会の構築に関する条例(案)
http://www.city.osaka.lg.jp/templates/jorei_kohyo/cmsfiles/contents/0000140/140831/kossi.pdf
<コメント>
大阪市の場合には、再生可能エネルギーの導入やエネルギーの合理化について、市と市民、事業者の協働をうたっています。
また、再生可能エネルギーの推進と同時に、低炭素化を目標にエネルギーの効率化を強く打ち出している点が特徴です。

■東京都

東京都環境確保条例
http://www.kankyo-business.jp/newsflash2009/200907_06.html
<コメント>
東京都の環境確保条例では、CO2の削減義務が具体的数値をもって設定されており(オフィスビルは8%、事業所は6%、第二計画期間では各17%程度)、さらにトップレベル事業所、準トップレベル事業所の認定制度が設定されるなど、特に温室効果ガスの削減について、具体的な施策が挙げられています。この条例と、今後の再生可能エネルギー推進を、どのように組み合わせて行くかが注目されます。

■埼玉県

埼玉県再生可能エネルギー導入ビジョン
http://www.pref.saitama.lg.jp/site/energy-vision/
<コメント>
条例ではありませんが、埼玉県の再生可能エネルギー導入ビジョンでは、再生可能エネルギー導入の基本方針として、ソーラー&バイオマスの推進強化をうたい、また熱の有効活用を打ち出しています。さらに、導入に向けた仕組み作りとして、共同事業体に発展を目指す協議会等を設置することを検討しています。

■北海道ニセコ町

ニセコ町再生可能エネルギー導入検討委員会設置条例
http://www1.g-reiki.net/niseko/reiki_honbun/a0700812001.html
<コメント>
比較的小規模の基礎自治体レベルでも検討は始まっています。この条例は、導入検討委員会設置条例なので、非常に簡単なつくりですが、まずは導入に向けた方針を打ち出し、検討委員会等を設置するという基本条例の策定にあたっては、参考になります。

<「自治体担当者として準備しておくべきこと」カテゴリー>

  1. 推進チームの組成、ノウハウ共有
  2. 再エネ推進条例の制定
  3. 3次補正と連動した事務事業の設計
  4. 地権者等との連絡・調整
  5. ファイナンススキームの設計

【再エネ基礎知識 項目一覧】

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