なぜ日本は再生可能エネルギー推進に出遅れたのか?

なぜ日本は再エネ推進に出遅れたのか?

① 市場規模比較

日本における再生可能エネルギーの普及状況を客観的に把握するため、以下では2005年から2010年の6年間における太陽光発電及び風力発電の累積導入量について、諸外国と比較する形で掲載しています。

・太陽光発電の累積導入量の推移(単位:MW)

太陽光発電の累積導入量の推移

太陽光発電の累積導入量の推移(クリックすると大きな図が表示されます)

2005

2006

2007

2008

2009

2010

ドイツ

1980

2931

4205

6160

9959

17370

スペイン

49

148

705

3463

3523

3915

日本

1421.9

1708.5

1918.9

2144.2

2627.2

3618.1

イタリア

37.5

50.0

120.2

458.3

1181.3

3502.3

アメリカ

479

624

830.5

1168.5

1616

2534

フランス

33

43.9

75.2

179.7

335.2

1054.3

中国

80

100

140

300

800

韓国

13.5

35.8

81.2

357.5

524.2

655.6

出典:     ”Table 2-Cumulative installed PV power (MW) in IEA PVPS countries historical perspective” (IEA Trends Report 2010)

・風力発電の累積導入量の推移(単位:MW)

風力発電の累積導入量の推移

風力発電の累積導入量の推移

2005

2006

2007

2008

2009

2010

ドイツ

18415

20622

22247

23903

25777

27214

スペイン

10028

11623

15145

16689

19149

20676

日本

1061

1309

1538

1880

2056

2304

イタリア

1718

2123

2726

3736

4850

5797

アメリカ

9142

11575

16818

25068

35064

40180

フランス

757

1567

2454

3404

4492

5660

インド

4430

6270

7845

9645

10926

13065

中国

1260

2599

5910

12020

25805

44733

ブラジル

29

237

247

341

606

931

韓国

98

173

193

236

348

379

出典:     “Global Wind Report” (GWEC 2006-2010 http://www.gwec.net/)

② 日本に存在した補助事業

日本でも、従来から太陽光発電、風力発電を含む再生可能エネルギーの技術開発、普及促進を支援する制度が設けられていました。以下ではその一例をお示しします。

・    住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金

住宅用太陽光発電システムを設置する者に対して、その設置に要する経費の一部を補助する事業を行う民間団体等に補助を行う制度です。
平成22年度行政事業レビューにおいて、フィード・イン・タリフに一本化すべきといった理由から、抜本的改善が必要とされました。但し、平成23年度本予算、補正予算においても予算の計上が認められており、現時点でも制度は継続しています。

・    太陽光発電新技術等フィールドテスト事業

新技術を活用した太陽光発電システム等の設置とあわせ、日射量や発電量等の運転データを収集し、太陽光発電設備の出力特性等の分析を行うことで、その有効性を確認します。さらに、分析評価結果等の情報を広く発信し、データ等の分析結果をもとに、導入ガイドライン、設計・施工ガイドラインの策定や、発電量のシミュレーションが可能なシステムを製作し、設置者が必要とする情報を広く発信することにより、太陽光発電設備の公共産業分野への導入促進を図る制度です。

・    クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金

クリーンエネルギー自動車の導入を促進するため、平成21~22年度より本格的に市場投入された電気自動車及びプラグインハイブリッド自動車の導入支援、充電設備の設置支援を実施する制度です。
具体的には、クリーンエネルギー自動車を導入する者及び充電器を導入する者に対して、その導入に必要な費用の一部を補助(自動車について基準額との差額の1/2以内補助、充電設備について価格の1/2以内を補助)します。

・    大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究

メガワット級の大規模太陽光発電設備(メガソーラー)を系統連系する際、配電系統の電力品質に悪影響を回避する(電圧、周波数等電力品質の維持)ための系統安定化技術を開発し、実証・分析・評価をする制度です。その際、様々な種類の太陽電池の運用面等に関する特性比較、評価及び目的別(出力変動安定の観点等)設置方法の検討も併せて行います。
これに加え、数時間オーダーでの大規模太陽光発電設備の出力制御技術を開発し、実証・分析・評価も制度目標に含まれていました。大規模太陽電池システム導入の手引書の作成大規模な太陽光発電設備導入時の指針として活用可能な「大規模太陽電池システム導入の手引書」の作成を目標としていました。

・    風力発電系統連系対策助成事業

周波数変動等のために風力発電の導入制約が生じている電力会社管内において、蓄電池等の電力貯蔵設備の併設を支援することにより風力発電の導入の促進を図る制度です。
また、そこから得られる風力発電出力、気象データ等の各種運転データの取得、分析・検討を行い、蓄電池システムの研究に活用します。

・    メタンハイドレート開発促進事業委託

メタンハイドレートの商業化に向けて、資源量評価・生産手法・環境影響評価に関する研究開発を実施するとともに、日本周辺海域での海洋産出試験等を実施する制度です。なお、フェーズ1(2001~2008年度)では、基礎研究、資源量評価、陸上産出試験等を、フェーズ2(2009~2015年度)では、日本周辺海域での海洋産出試験、長期的な陸上産出試験等を、フェーズ3(2016~2018年度)では、商業的産出に必要な技術の整備等を、それぞれ計画していました。

・    新エネルギー等導入加速化支援対策費補助

地方自治体等による太陽光発電その他の先進的な新エネルギー等利用設備の導入に対し、事業費の一部(1/2以内)を補助する制度です。また、地方自治体と民間事業者が連携して行う新エネルギー等利用設備の導入に対しても補助を行うものです。
民間事業者による先進的な新エネルギー等利用設備の導入事業に対しても、事業費の一部(1/3以内)を補助するとされていました。


③ 不十分な買取り制度

上記の制度のほか、平成14年に成立した電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)により、電気事業者に一定割合での再生可能エネルギーの導入を義務付けることで再生可能エネルギーの普及促進が図られていました。この制度では、電力事業者の判断で最も安価な再生可能エネルギーを選択して導入することが予想されるため最終的なコストが安くなること、一定割合の導入を義務付けるという制度設計から将来の再生可能エネルギーの導入量をコントロールしやすいことといった利点がありました。

しかし、諸外国において用いられている固定価格買取制度(FIT)に比べ、再生可能エネルギー促進の効果が薄いのではないか等の疑問がありました。そのため、我が国においてもFITの導入が検討され、平成21年にはエネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(エネルギー供給構造高度化法)が成立し、同年11月1日から太陽光発電についてはFITが開始された。

この従来のFITについては、次のような問題点がありました。まず、そもそもFITの対象が太陽光発電に限定されており、よりコストパフォーマンスに優れているとされる風力発電などその他の再生可能エネルギーの普及を促進することは出来ず、また日照時間の問題から太陽光発電が効率的ではない地域においては、再生可能エネルギーの普及を促進する効果が弱まることになります。また、この制度では、太陽光発電によって得られた電力について全て電力会社が買い取るのではなく、自家消費した後の余剰部分を買い取るに過ぎません。従って、自家消費量に比して十分な量の発電が行われない場合には、FITによる高額の固定価格での買取りの恩恵を受けることはできなくなります。平成21年のFIT導入時には、10年間で投下資本を回収可能にすることにより導入の促進を図ることを目指していましたが、このように余剰部分に限定することで電力会社への売却量が減少し、投下資本の回収期間をより長期なものとし、結果として設備導入意欲を削ぐこととなります。

このように、日本でも再生可能エネルギーの普及に向けた取り組みは行われてきましたが、諸外国に比べ遅れています。特にドイツはFITをいち早く導入し太陽光発電、風力発電ともに大きく導入量を伸ばし、スペインもこれに続いています。その結果、もともと日本が得意とし、その導入量が世界首位を走ってきた太陽光発電でも、2005年にドイツに首位を明け渡して以来大きく水をあけられており、スペイン、イタリアなどにも並ばれています。また、太陽光発電と並んで有望な再生エネルギーである風力発電では、ドイツ、スペイン、アメリカ、中国に大きな差をつけられています。

<「再生可能エネルギーを取り巻く法制度」カテゴリー>

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